先生の青
Color.16 見えない光




怖くて不安で
ずっと身体の震えが
止まらない




家に車を停めると
英雄さんは荷物を持ち
引き摺るように
私の腕を引っ張った




「勝手に家を出るなよ!」



部屋に私を押し込んで
荷物を投げ入れた
英雄さんの怒鳴り声が
耳鳴りのように響いた




…………とにかく
先生に連絡しなきゃ


繋がらなかったら
お父さんだ………



私の意志で先生の家にいたって
わかってもらわなきゃ……


先生は何も悪くないって……




ポケットから
ケータイを出した時


後ろから英雄さんの手が
伸びてきて



「……勝手なことはするな」



ケータイを奪われた



振り返って

「返して!返してよ!」

英雄さんの胸に掴みかかる



先生、早く先生を助けたいのに




「バカか、お前は」



ゾッとするほどの低い声に
顔を上げると
冷たい目が私を見下ろし



―――――――ドンッ


強く肩を押され
突き飛ばされよろけて
そのままベッドに倒れこんだ




起き上がる間もなく
英雄さんは
ベッドにひざをつき
倒れる私の髪を強く掴んだ




「………痛いっ」



「自分の立場をわきまえろ
お前に自由はないんだよ!
―――オレと同じくな」






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