先生の青




「そんなこと言っても
私が否定すれば………」



英雄さんは私を鼻で笑って



「バカだな、市花
今の状況なら
あのセンセーに
いくらでも罪を着せれる


未成年者略取でも


18歳未満のガキに
淫らな行為をしたって
条例違反ででも………


お前が戻って
父さんの怒りを
沈めない限り


淫行教師って
訴える事ができるんだよ」




「………そんな!
私たち、そんなんじゃ」


「清いお付き合いって
訳じゃないでしょう?」


英雄さんの手が
首筋に伸びて


反射的に目を固く閉じた


首を絞められるのか
と思ったけど


トン……と指先が
頸動脈のあたりに触れて



「これ、付けたの
センセーだろ?」



目を開くと
伏せた鋭い目で
英雄さんは
私の首筋を見てた




そこには夕べ
「あ、ごめん 付いちゃった」と
照れたように先生が言った
キスマークがあった



「センセーのためを思うなら
一度ここは出た方が利口だぞ」



…………嫌だ



先生……嫌だよ………


だけど



    淫行教師



私がここから離れなかったら
もっと大変なことになる



「市花!」


英雄さんの厳しい口調に
部屋に戻り荷物をまとめた



バッグにはたくさん涙が落ちた



英雄さんは一歩も
部屋に入ることなく


開いた玄関のドアにもたれて
じっと こっちを見てた





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