キミの隣に
「真月!」

呼びかけた俺に、
彼女は笑みを向けた。

「あ。センセ、どうしたの?
遅くなっちゃって、
ゴメンね。」

「いや、重かったんじゃね?」

いいながら、
水分ばっかりゴッソリ入った
コンビニ袋を彼女の手から
奪う。

「重っ!!」

「ギターより重いモノを
もてない人だな。
鷹尾君てば。」


鷹尾・・・君・・・?


心臓がキュッとなった。


初めて、『センセ』じゃない
呼び方で、呼ばれた。

「センセ?どーしたの?」

何だ・・・もう、終わりか。

無意識で、ゆったんだ。

そっか。


微妙にできた沈黙を、
取り繕おうと、
唇を開きかけた
瞬間の事だった。

「あれ?渡辺さん?」

驚いた表情の
サラリーマン二人が、
こちらをみて、
真月に声をかけた。

「え?!お疲れさまですっ。
今まで仕事してたんですか?」

真月も、思わぬ時間帯に
出くわした同僚に、
目をまるくしてる。

「こんな所で何してんの?
あ?彼氏?」

要約俺の存在に気付いた相手に
どうしようか考えていた時、
彼女がスッと背中を押した。

 

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