キミの隣に
「もうすぐライブなんで・・・
私たち、行きますね。
気をつけて帰ってください。」

真月が、適当な事をいって、
会話を終わらせた。

二人に手を振って、
俺の横を歩きだす彼女を
何故か遠く感じた。

縮まない距離

さっきの二人との間にすら
感じとれた何かが、
俺との距離の中には、
ないような気がして、
どうしようもない焦りを感じた。

「センセ?」

黙りこんだままの俺を、
真月が訝しげに呼ぶ。

「なあ、真月。
その『センセ』って、
やめない?
俺、おまえに
教えてないし・・・」

そこまで言って

ガキみたいに、
名前で呼んでって言うのか?
って、羞恥心に苛まれ、
着地点を見失い
再び言葉を無くした。

「じゃあ、何て呼べばいいの?」

そんな事を考えてるなんて
思いもしないんだろう。

真月は、不思議そうに
俺をみた。

「いや、普通でいいんだけど。」

そこまでいうんだったら
俺もさ、いえばいいんだよな。


ガキのツキアイみたいに
『名前で呼んで?』とか。

・・・若干、順番も
前後してる手前
いまさらか。
 

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