道のない甲子園


「いいか、海(ウミ)。
ボールはこう投げるんだ。…そう…バットはこう」

「お兄ちゃん。うみ、やきゅう、じょうず?」

「あぁ。とっても上手だよ。
明日からもお兄ちゃんと野球やろうな」

「うん!うみ、やきゅうもお兄ちゃんも大好き」

「じゃあ、お兄ちゃんと甲子園行こうな」

「こうしえん?」

「甲子園は、野球を1番好きな子を決める場所なんだ」

「それなら、お兄ちゃんとうみが1番だね」

「そうだな。
でも、甲子園に行くためには、たくさんたくさん練習しなくちゃいけないんだ」

「うみ、やきゅう好きだからいっぱい練習する」

「よし。じゃあ、お家まで走って帰ろうか」



兄と私…

この日は
私が野球を始めた日




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