いちばんの星


「誰かいないのか?」



聞き覚えのある声…



「おい…」



まだ目が慣れないせいか、暗い店の中をゆっくり歩くその人物…



美しい金の髪と緑の瞳をもつ愛しい人…



(ヴェルヌ…さま…)



ミュリエルの瞳に映ったのは、愛しいヴェルヌの姿だった。



「ミュリエルッ!!」



ミュリエルと男たちの姿を見つけたヴェルヌは、大声で叫びながら男たちへと近づいた。



「なんだてめぇ…邪魔するんなら容赦しねぇ…」


男のひとりが立ち上がり、ヴェルヌの胸倉をつかみ上げた。



しかし、ヴェルヌは表情を変えず男を睨みつけた。



「彼女を離せ」



ヴェルヌの低い声が、誰もいない店の中に響き渡る。
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