いちばんの星


「なんだと…?」



ヴェルヌに負けじと、男もヴェルヌを睨み返す。



「おい…ちょっと待て…」



それまでミュリエルを抑えつけていた男が、突然声を上げた。



「そいつ…国王じゃないのか…?一度だけ見たことがある…」



そう言った男は、次第に青ざめ小刻みにふるえ始めた。



「なに言ってんだ!国王がこんなとこにいるわけねぇだろッ!」



もうひとりの男が怒鳴り声を上げた。



「間違いじゃねぇよッ!サヴィアーノの王族は代々金の髪と緑の瞳をもって生まれるって聞いたことがある…」



その言葉に、ヴェルヌの胸倉を掴んでいた男の手がガタガタと震えだした。



もしそれが本当なら、国王に手を出したりすれば自分たちは間違いなく死罪…



自分の顔を見てみるみる表情を変える男の手を掴み上げると、ヴェルヌは静かに言った。
< 102 / 126 >

この作品をシェア

pagetop