ワタシと恋をしましょう!
「なんかいいなー」
それぞれが騒ぎ立てて道を進む様子は、とても安心する。
やっぱり大好きだなーこの感じ。
「美空が居るからこうなるんだよ?」
「え?」
「光なんてずっと美空に会いたいって元気無かったし、琴美さんは仕事ばかりして寂しさ紛らわしてたみたいだし。亮介さんもお酒飲んでばかりで、私もすごい寂しかったもん。美空と先生が居て、私達は元気で居られるんだよ」
里奈は、恥ずかしそうに頬を赤く染めて言った。
その隣で、光が頷く。
笑顔を貼付けた琴美さんの隣にしかめっつらの亮介さんが私の頭を撫でた。
それを見た彰人さんがすかさず、私の腰を抱いて亮介さんが触った場所に口づけをした。
「おい、彰人。なんだよそれ、暑いなー全くよ」
「ばい菌がついては困る」
そんな亮介さんと彰人さんのやり取りを聞きながら、私は空を見上げた。
すると
はらり
桜の花びらが降ってきた。
一枚だけ。
その花びらをてのひらに乗せると、風が吹いて花びらはどこかへ飛び立っていった。
春の風。
春の暖かさ。
ひとの優しさ。
そんなものに包まれていた私。
それを一瞬のことなんだと思いたくなかった。
永遠に続けばいいと、願った。
……その願いが叶えられないとは知らずに。