千日紅が咲いている
 ヤスと私の身長はそんなに変わらない。

 なんて言ったら、怒られるかもしれないけど。

 だから横を歩くのにそんなに苦労はしない。

 ちょうどいい歩調。


「応援すごかったよ。おもしろかった」

「だろー?男子組でめっちゃ考えたからな!」


 嬉しそうに答えるヤスに私も嬉しくなる。


「でもおしかったね、赤団。2位だったもんね」


 その流れで軽く言えば、ヤスの笑顔が一瞬消えた気がした。

 けど、見間違いだったのか、次の瞬間には笑顔だった。


「そうなんだよなぁー、悔しい!大輔に負けるなんてな…」

「勝負、負けちゃったね」

「…ああ、負けちゃったな」


 その口調が自虐的に聞こえた。

 何だろう、違和感を覚えた。


「リレーも抜かせなかったしなぁ」


 ヤスは苦笑した。
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