千日紅が咲いている
 私の学校の体育祭の最後を締めくくるのは、団対抗リレーだ。

 団代表の1年から3年の男女6人がバトンをつなげる。

 アンカーは団長というのが暗黙のルールだった。

 アンカーには白団が一歩先につなぎ、そのあとを赤団が追いかけた。

 高身長の大輔に小柄なヤス。

 体格差的に不利なはずなのに、ヤスは速かった。

 テントから見たヤスの真剣な顔に、私は自分の団の応援も忘れ、叫んでいた。


『ヤス、がんばれーっ!!』


 これでもかって声援を送った。

 団が違うのに応援するっていう不思議な光景かもしれないけれど、応援せずにはいられなかった。

 先にテープを切ったのは白団だった。

 ゴール先に立っていたヤスが印象的だった。

 握りしめた赤いバトン。

 頭に揺れるは赤いはちまき。

 ヤスは空を見ていた。
< 14 / 47 >

この作品をシェア

pagetop