時計仕掛けの宝石箱
気まずい空気が流れ、響也も何も言えなくなる。

後悔の念が体をぐるぐると巡っていく。

‥どうしようか。

目を彷徨わせて思案し‥。



「‥?‥何だ、アレ?」

ふと、階段の側面に見慣れない黒っぽいシミが付着しているのが、見えた。

階段の下りでは絶対に気付かないであろうそのシミは、親指程もある。

奇妙だ、と響也は思った。何が奇妙なのかまでは、響也自身にも分からなかったが。

先ほどまでの気まずい雰囲気も忘れて、ついつい近付いて凝視する。

すっかり忘れていた嫌な感覚が、再び首をもたげ始めた。

響也の視線が階段に集中している事に気付いたのか、蜜羽も横から覗き込むように見つめる。

それだけでは飽きたらず、響也の前に身を滑らし、しゃがみ込んでソレをまじまじと観察する。
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