時計仕掛けの宝石箱
「‥え?」

奇怪な音が上の踊り場に鳴り響いた。

響也は何気なく顔を上げ‥。






血の気が音を立てて引くのが、よく分かった。






響也は咄嗟に蜜羽を自分の背に引き寄せた。

戸惑う気配がしたが、響也はそんな事に気付かない。

ただただ、自分が数秒前に見た光景に、戦慄していた。

「‥響也?」

「見るなっ!!」

不思議に思った蜜羽は響也の背中から顔を出そうとしたが、叶わなかった。

振り向きざまに、響也が蜜羽を抱き締めてしまったからだ。

驚いて固まってしまった蜜羽の温もりを感じても、響也の震えは一向に納まらない。

‥響也達が日常的に見ていた踊り場は、
未だかつて見た事もない、凄惨な劇場と化していた。
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