時計仕掛けの宝石箱
そんな蜜羽の心情を響也は分かっていた。

だから、幼馴染みの響也は蜜羽が手を繋ぎたがる、いや、正確には誰かの温もりを求める時もよく知っていた。

‥これは辛くて辛くて堪らない時の、蜜羽流の合図。

貧血気味の蜜羽は、満足に遊んだり出来ないために一人でいる事が多かった。

思い切り遊びたい盛りにそれを自粛しなくてはいけない不満感と、独りでいる孤独感が溜まりに溜まった時に、響也にする行動。

蜜羽の両親すら知らないこの行動は、蜜羽の心の叫びであり、響也はそれを感じる事が出来る唯一の存在だった。



‥ごめんね。



言葉にせず胸の奥で響也は呟く。

口にしても、蜜羽に無理な笑顔を作らせるだけだからだ。

一生懸命に笑う蜜羽の顔は幼児とは思えない程複雑で、響也はそれが悲痛でならなかった。



‥だから。



響也は蜜羽の手を強く握る。
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