時計仕掛けの宝石箱
この温もりも、この髪の柔らかさも、あの頃から何一つ変わっていない。
変わったのは‥
そう、俺達の関係。
響也は先刻までの逃亡劇の喧騒が嘘のように静かな教室で、苦り切った表情を浮かべる。
‥表面だけ見たなら波紋一つありはしない。
だが、その水面下で、二人の関係は複雑に入り交じっていた。
しかし、響也の叙情的な心は、扉で区切られた外界からの奇怪音によって崩れ去った。
ドカンとかバコンとか頼りない音で警告しているのはこの教材室のドア。
微妙に歪んできているそれを見て、 反射的に体を起こし蜜羽を抱き抱える。