時計仕掛けの宝石箱
先程よりは体力も気力も回復したようで、体の怠さはかなり軽減されている。

これで後方の憂い消えたが、問題はある。

この本棚によって狭く区切られた空間で、どうやって敵から逃げるかだ。

『隠れる』選択肢は除外。

わざわざ鍵の掛かった教材室に来たという事は、何らかの感覚機能で<餌>がいる事を認定している可能性があるからだ。

響也が見た限りではさほど知力はなさそうだったが、念には念を入れておく。

「‥ん‥‥」

腕の中で蜜羽が僅かに身動ぎをした。覚醒が近いらしく、瞼が震えている。

響也は内心で舌打ちをした。出来れば蜜羽にはあんな化け物など見せたくなどない。

だが再び気を失わせる技術は響也にない。そしてする気もなかった。
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