時計仕掛けの宝石箱
こんな悪夢は、見た事がない。

響也の背に伝う汗は、恐怖による冷や汗ばかりだった。

ギッと音が鳴るほど歯を食いしばり、響也は再び現れた角をレーサーよろしく左に曲がり‥



そこで、この悪夢は終わらないと、悟らされた。



「‥っ?!」

急に止まったために足がもつれ、転んでしまった。

蜜羽を庇って体を捻り、したたかに背中を打ち付ける。火が付いたような熱さと一瞬止まった呼吸で噎せ(ムセ)ながら、響也は蜜羽をぎゅっと抱き締めた。

逆さになった響也の眼前に広がるのは‥決然たる地獄だった。



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