時計仕掛けの宝石箱
閉じられた瞳の奥で、自分の首から、粘着性のある深紅の泉が吹き上がる映像を、響也は他人事のように観る。

勢いよく突き飛ばされた、それ以降の痛みはない。痛感は拒否反応を示したのだろうか。

熱い液体が体を伝って落ちていくのだけは、明確に感じる。



―‥死に、痛みや苦しみは伴わないのか‥―



そんな事をぼんやりと考えて、響也は瞼を開けた。

麻痺し尽くした脳髄に、最期に蜜羽の姿を刻むために。

そっと彼女に目を向けると、蜜羽はまだ無傷だった。真っ赤に流れ出る血に染められているだけで、静かに呼吸をしている。

あぁ‥良かった。



「‥まだ、起きてなくて‥」



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