時計仕掛けの宝石箱
小声で叱咤する響也に海斗は、「気にすんなって」とマイペースを崩さない。

響也もそのまま何も言わずに経緯を見守っていた。

海斗が教科書との壮絶な戦いを繰り広げているのを目の端に捕らえながら、
時計の針が示す時間を確認。

始業から三分が経過している。

「‥そろそろ来るぞ」

ヤベ、とやっと焦りを見せた海斗は教科書をあらかた机の上に出し始める。

一際大きくなった騒音に、周囲からは忍び笑いが漏れる。

「よしっ、取れた!」

小さく歓声を上げた海斗の手には、所々折れ曲がった戦利品があった。

ふぅ、と一息ついた海斗に、響也は苦笑した。
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