やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「止めんなよ!」
その時、さらに奥の部屋から、組長の叫び声が聞こえてきた。
私は、その叫び声の聞こえてきた部屋に飛び込む。
部屋に飛び込んだ私が見た光景は、組長に拳銃を突きつけられている執事の姿だった。
「何で組長が龍一さんに?」
どういう状況かまったく理解できずに混乱する私。
「小夜さん・・・小夜さんも組長を止めてください。」
拳銃を突きつけられた執事が、私を見る。
「大和、落ち着けよ!わざわざお前が殺すことないだろ?・・・どうしても殺したいのなら、俺がやってやるから。」
真木ヒナタが、組長の横で必死に組長に声をかけている。
「そうですよ、大和。あなたには、まだ、やるべきことがあるでしょう?こんな小物な奴を殺して、刑務所に入るなんて、私は許しませんよ。私との約束を破るつもりですか?」
執事も組長を説得する。
私は、執事の組長への話を聞いて、やっと、どういう状況か納得できた。
執事は、鮫田組の組長を撃ち殺そうとして、それをさせないように、倒れた鮫田組組長の前に執事が立ってかばっている状況だった。