いつでも逃げられる
「廃屋だけど、まだ水道は使えるらしくてね…外にある蛇口から水を出して、洗顔や歯磨き…少し体も拭いてきたんだ。汗臭いままじゃ、加奈子ちゃんに嫌われるからね」

「……」

何言ってるの、こいつ。

はじめからこんなストーカー男に好意なんて持っていない。

そんな心境を露骨に表すように、私は顔を背けてやった。

そんな嫌悪の態度にもめげる事なく。

「加奈子ちゃんもどうだい?さっぱりするよ?」

「え?」

男は耳を疑うような事を言った。

「昨夜一晩風呂にも入れなくて気持ち悪いでしょ。僕が体を洗ってあげる」

「!?」


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