いつでも逃げられる
彼の腕枕に抱かれながら、私は今後の事を考えていた。

…もう恋人である筈の勇作の事なんか頭にはない。

私を見てくれない男になんか未練はない。

勇作より彼の方が、ずっと私を見てくれる。

愛してくれる。

そう感じていた。

同時に考える。

実はこの拉致監禁は私達の自作自演で、ただ二人きりで山奥でイチャイチャしていました…そう言えば、彼の罪は許されるだろうかと。

ひどく叱られ、世間から冷たい目で見られるだろうけど、そんなのどうでもいい。

彼の罪がなくなり、二人一緒にいられるなら、勇作に軽蔑されたって構わなかった。


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