【長編】距離
「俺、さらっといえるほど余裕ないから。」


そういえば、そうよね。


だって、修は初めてづくしなんだから。


モテるのにね。


かっこよすぎだよ。


遊ばずに一途に私を思っててくれたなんて。


ありがたいよ。


「そうだったね。」


私は、クスッと笑いながら修を見た。


「仕方ないだろ。」


修は、私を軽く睨んだ。


私が笑ったのが気に入らないみたい。


「嬉しいよ。
私には、もったいないぐらいに。」


ホント、そう思う。


私は、いい加減すぎるから。


「俺は、朱菜だから。
それ、忘れんなよ。」


「うん。
私だって、修だから。」


だから、諦めなきゃとかいろいろ悩んだんだから。


「てか、今日は楽しもうぜ。」


いつの間にやら、遊園地の前。


「わぁー。
久しぶり。
うん。
楽しもう。」


私は、修の手を掴んで走り出した。


「わっ。
朱菜?」


修は、私のいきなりの行動にこけそうになった。


けど、私は気にしない。
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