工場注意報
その事故は突然起こった。

機械がいきなりガタガダッと震え、動きが止まった。

彼は異変にすぐに気付き、機械の近くに寄った。

どうやら切断機にダンボールが挟まり、刃が抜けなくなってしまったようだ。

この程度のトラブルは度々あった。

いつも自分で直せるので、今回も自分でしようとした。

一度機械の電源を切り、挟まったダンボールを取り外す。

そして再び電源を入れれば、直る。

―はずだった。

しかし今回はよほどダンボールが悪かったのか、電源を入れ直しても、切断機の刃は途中までしか上がらず、また止まってしまった。

彼は電源をもう一度落とし、刃の真下に来た。

見上げて、刃に挟まったダンボールの屑を取り外し始めた。

ハラハラとダンボールのカスが顔に降りかかる。

思わず顔を下に向け、横に振った―その時だった。

何の前ぶれも無く、刃が落ちた。

そして―首が落ちた。
< 2 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop