オレンジの教室
“ブ―ッ!、ブ―ッ!”
突然、早川が突っ伏している机から携帯のバイブ音が響いた。
やばい…
そう思った時には、もう遅かった。
「ん……って、え?
く、蔵木くん!?」
先程まで閉じられていた大きな瞳はさらに開かれ、早川の顔には焦りと驚きの表情が広がっていた。
だが、早川が焦るのと同じくらい、焦っている自分がいることにも気がついた。
何を言えばいいか混乱した頭では思い付かず、出てきた言葉は、
「おはよう」
であった。