大人の女と男の関係
「成哉?
ねえ、なんか変だよ?
なんでそんなこと言うの?」


すると、成哉は自嘲するように微笑んでまた私を見た。


「感傷かな。
香菜さんに相手にされなかった頃のこと思い出して」


そう言うと、成哉はまた歩き出した。


しかし、もう私の部屋のある建物の前に来ていた。


私は成哉を呼び止め、建物を指差した。


そして、その場で立ち止まったまま、成哉に聞いた。


「ねえ、由宇さんとけんかでもしたの?」


成哉はしばらく無言だった。


私は成哉が口を開くのを待った。


やがて、成哉は小さくため息をつくと言った。


「……俺たち、もうだめかもしれない」
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