大人の女と男の関係
たしかに成哉は長男。


しかし今時、跡取りとか、男の子を産めとか、時代錯誤じゃない?


私の反応に成哉は同意した。


「うん。
たぶん、俺や香菜さんみたいに東京で生まれ育った人間にはわからない感覚だと思う。
それだけじゃないかもしれないけど。
価値観がまるで違うんだ。
お母さん達だけじゃない。
由宇自身もそういう考え方に異を唱えないんだよ。
お母さんにそう言われれば、その通りだって言って、早く子どもを欲しがった」


意外だった。


一度見たことがあるだけだけど、由宇さんは洗練されたおしゃれな女の子で、価値観も私達と似たようなものだろうと思い込んでいた。


「付き合ってた頃は、そういう由宇の価値観に全然気がつかなくて。
でも、由宇はお母さんやお祖母さんのいうように早く子どもをってすごく焦ってて。
何度も話し合ったんだけど平行線で、そのうちギクシャクし始めて。
そんな不穏な空気がいやになって、じゃあ、子どもをつくろうって俺が折れたんだ」


なるほど……


「でも、由宇、流産したんだ」


< 149 / 304 >

この作品をシェア

pagetop