大人の女と男の関係
なんとなくわかってきた。


女が強いんだ、由宇さんのご家族。


「由宇さんの流産のことや、精神状態のこと、お父さんはどう思ってらっしゃるのかしら?」


「お父さんは……
正直よくわからない。
由宇のことは心配している様子だけど、あまり話さない人だから」


「でも、高校の先生なら、流産の原因が由宇さんにないってことや精神科に見せた方がいいってことは、きちんと順序立てて説明すれば、お父さんならわかってくれるんじゃない?」


「ああ、それはそうかも」


成哉の目に、小さな希望の光がともった気がした。


私は微笑んで成哉の目を見た。


成哉も微笑み返してくれた。


「次に行ったとき、お父さんと少し話してみるよ」


「うん、それがいいと思う」


私は成哉が少し元気を出してくれたのが嬉しくて、大きく頷いた。


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