遠距離、恋愛。-二人の距離-
「すごいよ、電車の中で告白したらしいんだよ」

ぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られ、自分の気持ちをごまかすようにトモに話しかけた。

すると、向かいに座っているマユさんが体を乗り出しながらなぜ知っているのかと驚いていて。

まずかったかな?とも思ったけど、大野さんは笑っているし。

「電車って?」

そんな中でも、トモはごく普通に俺に疑問をぶつけてくれる。

俺も、目の前でなだめられているマユさんを見ないように、トモに簡単に説明して。

電車でお互いが一目惚れをしたことが始まりだということを伝えた。

話を聞いて、ほんのり頬を赤くして興奮しているトモが、愛おしい。

ってなんだか俺っておかしいんじゃないか?と思えてくるけど、雰囲気に酔ってるのか?

恥ずかしがりながらも、二人のことを話してくれるマユさん。

一通り話し終えてから、今度は逆に俺たちの出会いについて質問されてしまった。

「んー、初めて知り合ったのは何年前だっけ?」

「3年目、かな?」

お酒のせいだろうか、うまく計算できないなんてぶつぶつ言いながら指を折っているトモ。

そんなトモを横目にして、大野さんが体を乗り出してきて。

「お前の片思い歴、話さなくていいのかよ?」
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