危険な彼女
奈津は、ふいに桜の頭をなでた。



酔っ払って、真っ赤になって、涙で濡れた表情に、一瞬の戸惑いが生まれる。




「俺はお前の奴隷………兼、友達だろ?

ご主人様の………友達のはけ口ならいくらでも、喜んでなってやるよ」




そう言って、奈津は微笑んだ。



いろんなものを取り去った、素の笑みで桜を見た。



その微笑みに、桜は甘ったるい、とろんとした笑みを浮かべる。




「な…つ………」




そう呼ばれ、奈津はビクンと体を震わせた。



桜はゆっくりと、自分に覆い被さってきていた。



桜の顔が徐々に奈津の顔へ近づいてくる。



奈津は自分の心臓がうるさく激しく鼓動しているのを感じた。




そして、全身に何かがのしかかる感触。



奈津は息をのみ、それから全身の脱力感が襲ってきた。




「すー…すー…」



「寝てるし………」




奈津は妙に恥ずかしくなって、意味なく枕を叩いた。
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