お菓子のこころ《詩集》
やさしさ

迷い立ち止まるとき
いつも終わりを夢見る
すべての自由はそこにあるのだと

現実を見ずに錯覚する

けれどあのときあなたは
氷よりも冷たくなった私の手を
そっと優しく包んだのだ

点滅する赤信号
色を失う世界
抱きしめられたときのぬくもり

零れ落ちた涙を拭って小さく笑った







あのとき

あのときから

どんな孤独の中にあっても

絶えずやさしさは

降り注いでいたんだ

< 1 / 64 >

この作品をシェア

pagetop