love letter~ヤンキーの彼氏~
扉を開けた瞬間に、春の風が私を一瞬で通り過ぎていく。


黒いロングの髪が、後ろへと流され、キレイに並べていた前髪もふわっと浮かぶ。


イタズラ好きな風なのか、膝丈ぐらいのスカートまでさらっていき、私はキャッと小さな悲鳴をあげて抑えた。


これも間が悪いってやつ?


少しすると風は静まり、髪が動くのを止めると慌てて、前髪を直し始める私。


すべて終える頃には、授業が始まるチャイム音が聞こえ、校舎全体に響き渡る。


それを屋上で聞いているって事は……サボリ?


「あー、もう最悪ー!ホント最悪ー!」


追いかけられなかったら、こんな事にならなかったのに。



「多香子!愛!覚えときなよー!」


って、他人のせいにする今の私の顔は醜いかも。


肩を落とし、コンクリートの地面に視線を向けて、トボトボと私は歩き出した。


あーでもない、こーでもない、ブツブツ。


その時、追い討ちをかけるように再び、強い風がビュッと吹き、もう一度、私の前髪を無惨な姿に変貌させていく。
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