ケータイ電話の都市伝説
ミナの眼が大きく見開かれた。

―ぐっおおおおおっ!―

空に向かってほえたミナの体から、青白い光が飛び出てきた。

その光が全て抜けた時、ミナの体から力が抜けた。

「ミナっ!」

駆け寄ったマカは、ミナの体を受け止めた。

「マ…カ」

虚ろな表情だが、ミナは理性を戻していた。

やつれた顔で、マカの顔を見る。

「ゴメン、ね」

「…いや、いい。迷惑を掛け合うのも、親友の醍醐味だろ?」

「ふふっ…。ありが…と、う」

柔らかく笑うと、ミナはそのまま気を失った。

ミナの体を一度強く抱き締めると、静かに横たえた。

そしてマカはケータイ電話を見た。

「―さて、ミナは失敗したぞ? 諦めることだな」

赤く浮かぶ魔法陣に向かって声をかける。

―フフッ…。残念だなぁ―

しかしケータイ電話から、少年の声が聞こえてくる。

「雑魚食いは悪食が過ぎるぞ? そんなに空腹なワケではあるまい」

―まあね。ちょっとおもしろそうなゲームを考えたから、やってみただけ。ちょうど良い具合に腹も膨れたし、ここいらで引き上げるよ―

「人間の持つ、本能の力を食らうとはお前らしいが、選ぶ相手はあまりよくないみたいだな」

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