モノクロ
「つけられてのか?」

コクン、と小さく頷く。


「こんな時間に何やってんだ?」

ため息と一緒に吐き出された。


「……バイト」

なんだか怒られてる気になって、思わず俯いた。


「駅まで送るから」

掴まれた腕が解放された時、雨が頬に落ちて来た。



「……雨?」


先生が空に向けて手をかざしたのを合図にするように、大粒の雨が降ってきた。



「予定変更。こっち来い」


私の頭にスーツの上着を掛けて手を掴むと、駅とは反対方向に歩き出した。


「えっ? ちょっ……!」

どこ行くの!?





バイト先のファミレスも通り過ぎて、静かな住宅街にあるマンションに入った。



「ここ、どこ?」

「俺んち」


エレベーターで八階まで上がって右に折れ、並んだドアのうちの一つを開けた。


「はっ!?」


「入れよ。今タオル取ってくる」

入れよって言われても……。


上着を貸してくれたものの、結構濡れてしまっていて。

そのままで入るのも気が引けたから、そのまま玄関にいた。



「入れって言ったじゃん」

タオルを手にした先生は、玄関に立ったままの私を見て、呆れたようにため息をついた。


「でも……」

「いいから」


そう言われて手を引かれ、リビングに連れて行かれた。
< 52 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop