大空
俺は高校生になった。


それでもやっぱり、空を見る。



高校2年の美空ちゃんは、本当にきれいになった。




昨日、すごくきれいな空の写真を撮った。

美空ちゃんに見せたいな。



2年生の階へ行く。


「透くんだー!かっこいいね!」



そんな話し声が聞こえる。



……美空ちゃんも、そう思ってくれてるかな。



でも、あんなきれいな人じゃ、まだまだ俺じゃ釣り合わないんだろうな。




そんなことを考えていたら、後ろから澄んだ声で呼ばれた。



「透くん!」


ぱっと振り返ると、美空ちゃんがにっこり笑って近づいて来た。



「あ、美空ちゃん!今会いにいこうと思ってた。」



「ほんとに?どうしたの?」           


俺は、昨日撮った写真を、美空ちゃんに見せた。


「わぁ‥‥!すごくきれいね。」


美空ちゃんは、キュッと目を細めて写真を見つめた。


その姿は、青空に雲が浮かび、その白さに思わず目を細めてしまうように、眩しかった。





教室に戻ると友達に、

「おまえらがもし付き合ったら美男美女カップルだなぁ」
と言われた。



美空ちゃんは、どう思っているのかな。


好きって言いたいんだけど。


言う勇気はあるんだけど。

でも言ってしまったら、


崩れてしまう。


空が怒っている、雷のように、


なくなってしまいそうだから。
< 3 / 11 >

この作品をシェア

pagetop