大空
俺が小学校2年の時。
美空ちゃんと出会った。


どっちかが引っ越して来たわけではないけれど、それまでは、お互いあまり話したことがなかった。
顔をあわせなかったのだ。


そんなとき。


涼しい風が吹く、夏の終わりの頃。


いつものように野原に横になっていたら、


美空ちゃんが来た。



「透くんだよね?」


澄んだ、きれいな声だった。ドキッとした。


「隣に住んでる、美空だよ!何してるの?」


そう言って、俺の横に寝っ転がった。


「あのね、空を見てるんだ。」


俺は、声変わりのしていない、可愛い声で言った。



空を見上げた美空ちゃんは、わぁっと声をあげた。


「わぁー!すごいねぇ。きれい!透くんは空が好きなの?」



「うん!すごくきれいでしょ?お姉ちゃんは、美しい空って書くんでしょ?きれいだね。」



「透っていうのは、透き通るって書くんだよね。空みたいできれいだね!」



すごく優しく笑った。
本当に、きれいだった。


その時から、


恋に落ちたんだと思う。
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