大空
透くんへ


もう長くないってわかってるから、透くんにお手紙を書きます。


私には、透くんがすごくかっこよく見えていました。初めて見た透くんは、寝っ転がって空を見ていたの。何回かそんなところを見かけて、声をかけようと思った。私も、空が好きだから。
遠いどこかで、誰かが同じ空を見ているのかと思ったら、すごくわくわくしたから。
それに、単純にきれいだから。

透くんに、名前がきれいだねって言われて、すごく嬉しかったのを、覚えています。


透くん、写真をたくさんありがとう。私は、もう大空は見ることができないんだと思っていたから、本当に幸せでした。
透くんが撮る写真は、どれも透くんの視線から見えるもので、私が見たいと思った空だったよ。
本当にきれいで、なんだか涙が出てきます。


そう言えば、学校で会うたびに、かっこよくなった透くんを見るたびに、嬉しくなります。私の友達も、みんなかっこいいっていってたよ!お姉ちゃんにでもなった気分で、誇らしかった。



もし、私がいなくなって、悲しんでくれるのなら。

寂しがってくれるのなら。



空を、見てください。



私は、空にいます。



大好きな空に、一番近いところにいます。



だから、あの野原でいつものように、空を見上げてください。




透き通った、美しい空になっています。




透くん、ありがとう。



美空




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