一緒Ⅱ
過去
傘を間違って持って行かれるように私を猫は掴んで連れ去った。

足は陸上部で鍛えたから。猫より足取りは軽くて。猫は腕の力を緩めてひどく驚いていた。

「ねえ強い振りして幸せ」

猫はなにを言っているのだろう。

私はひどく困惑し不覚にも答えてしまう。

“そうだとしたらなに!?”

初対面で。

猫は猫のように鈴を鳴らすように笑った。

私には微かに聞こえた鈴の音が幻にみえて笑ってしまう。

こんな感じできがつかれるなんて思わなかったから。

猫は本当に鈴を持っていて制服の釦に勝手にストラップを外してくくり付けたんだ。

「次から駆けつけたる!せやからそれ外さんといてな?」

二カッと笑い。

猫は目の前の交差点で車を止めて乗り込んだ。

私は呆然と、みつめて彼は「猫かよ」と思った。

猫はその日から本当に駆けつけて。







ついに私をアジトに呼んだ。
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