一緒Ⅱ
「怪我治るまでここに居なさい」

「冗談じゃッ」

 ズキッ

頭がくらくらする。

頭を押さえた手に違和感を感じみてみれば包帯が巻かれて、血も滲んでいた。

「お人好しなら」

「そんなんちゃうわ!」

 びくっ

「あ、堪忍」

調子が狂う。驚いたり怒ったりシュンとしたり…。

ほんと猫みたい。

毛先もクルッと跳ねていて、背丈は以上に高いくせに。

年代も声も明らかに年上なくせに猫は私より年下と思えるような態度を今も懲りずにやっていた。

私と猫は一年も前に知り合って今もお互いの名前を知らない。

私はアンタを猫と呼ぶ。

アンタは私をガキんちょと呼ぶ。

アンタだけが私の本音を包み隠さす引き出して、知って…。

私は今日も猫に腹が立ったりしている。

私を救うのは親でも友達でも恋人でもなかったから。

悲しくて。

苦しくて。

哀しくて。

…悔しい。
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