カラカラライフリズム
記念すべき一体目は幼児の作ったおもちゃに等しかったが、
人形作りというのはよほど晴喜の性に合っていたらしい。

彼女は、めきめきと実力を伸ばしていった。

そしてすぐには布人形に満足しないようになり、
次第に晴喜は工具や粘土を求め、専門書をねだるようになった。

晴喜は、天才だった。

誰に教えられたはずでもなかったのに、
彼女の手はもともと方法を知っていたかのように確実に動き、
人の形を作っていった。

素人目に見ても、それは素晴らしい出来だ、と樋口は思った。

どうにか試行錯誤の時期を越え、人形のヘッドが出来た時、
樋口はそれを上層部の人間に知らしめてやりたいと思った。

あの『CPGの人権を完全に保護する』と公言しておきながら、
全く実現する気の無いくだらない人間達……。


奴等はこの芸術作品を見てどんな顔をするのだろう、と。
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