びいだま

かえりみち


「じゃぁ、俺ここで」



ユウが私たちとは反対方向を指して瑞貴に言った。



え・・・・?



「一緒に帰らないのか?」



瑞貴の質問に、ユウはうん、と頷いてから答えた。



「姉ちゃんのところに顔出す約束してるから」



姉ちゃん?



「あぁ、そうか・・・・うん。わかった。じゃ、またな」



「あぁ・・・・」



軽く手を挙げたユウはちらっ、と多分今日はじめて私を見て少しだけ笑ってくれた。


「じゃな」


「あ・・・・うん。バイバイ」



振り返った彼の背中に少し大きく声をかえして、私たちは帰り道についた。



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