二人で一人〜永遠に
琉汰は、握っていた私の手を、ゆっくりと放した。

俺の手は、千冬の手を放したくないかの様に、ゆっくりと放した。

 ――結婚式当日――

俺は、千冬の電話で起こされ、支度をして家を出た。

「遅刻は免れたな!」

俺は、石川町からタクシーに乗り、教会に急いだ。

――「琉汰、二度寝してないかしら!?」

お母さんは、着物姿で心配そうに私の元へ来た。

「大丈夫よ!寝坊しない為!二度寝しない為に、電話口で、『遅刻したら、もう二度と琉汰の顔を見る事は無い!死ぬまでねっ!』って言っておいたから!」

私は、髪の毛をセットしてもらいながら鏡に映る、お母さんに言った。

「嫌ねぇー、死ぬまでなんて!縁起悪い!」

「冗談で言ったのよ!もぉー、真に受けないでよ」

私は、笑いながらお母さんに言った。

私は、支度を終えてウエディングドレスを着て、車に乗り込んだ。

いつも通る町並みが、今日はキラキラと輝いているように私の目に映った。

――教会に着いた俺は、控え室で、着替え煙草を吸っていた。

〔コンコン!〕

「はい!?」

控え室の扉が開いた。

「よっ!」

「兄貴!来てくれたのか!」

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