神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
鵺の叫びをサラリと髪をかきあげながら女は聞き流した。


「やるなら私がお相手するわよ?
…それに、もうじき坊や達がここに来る。
近づいてくる霊力、貴方も感じるでしょ?
引くなら今のうち、それとも私と踊りたい?」



女は鵺に対してエスコートを求めるように手を伸ばした。

鵺は少し後ろに下がると、残った妖に対して撤退命令を下した!


「ココマデダヒケッ」

そして白蓮の方を向いて言った。


「シバラクイキノビタナツギハナイゾ」


鵺は叫んだ後、闇の中へと消えていった。



それを確認した女は振り返ると、何も言わずに白蓮へ微笑みかけて屋敷の上へと去っていった。


そして白蓮は固まったまま冷や汗をかいてその場に座り込んだ。


その晩、屋敷の損害、退魔士達の被害は甚大なものとなった…。
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