神楽幻想奇話〜鵺の巻〜

透は倒れた木に腰をかけると、目を閉じて月読の指示を待った。


「よし、そのまま心を落ち着けて自分に憑く妖に対して語りかけてみろ。」


「語りかける？見たことも聞いた事もないモノにどうやって語りかけるんだ？」


「小僧が技を使う時に、自分の中から力を感じるだろう？それを探ればよい。
それを感じたならば、ワシが過去の妖の戦いの記憶を見せてやろう。」


その声が聞こえてすぐに、透は額に手を当てられる感触を感じた。

そして、いまいち理解は出来ないままに、技を使う時の力を探し始めた。

（まずは母さんの化け狸の力…変化と幻覚しかできないが…。）



ゆっくりと心を落ち着けて、技を発動する時の力を探した…。




トクン、ﾄｸﾝ、トクン、ﾄｸﾝ



「…見つけた…。」


透がそう呟くと同時に、額に置かれた月読の手から、何かを引き出される感覚に透は襲われた！