神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
一瞬の意識の暗転の後に待っていたのは、鬼と戦う退魔士の姿だった!


(これが戦いの記憶!?)


そこには倒れた男の退魔士と、黒髪で武器を持たない細身の女が見えた。

女は身軽に鬼の爪を避けながらタイミングを計るように走り回っていた。

(仲間の退魔士がやられてるじゃないか!武器も持たないで鬼に立ち向かうなんて無理だ!)


透はその記憶を見ながら、その女が自分の母親だということに直感的に感じた。
自分の命と引き替えに亡くなった母の姿に、透は戸惑いを隠せなかった。

(母さん、変化の技だけじゃ逃げきれない!)

記憶の中では壁際まで追いつめられた澪が、息を切らせて鬼を睨みつけているのが見えた。

鬼が叫びながら爪を降り下ろした瞬間、脇をすり抜けた澪は鬼の体に手を当てた!


(母さん!素手で何する気だ!?)

次の瞬間、透は目を疑った!
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