神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
一方その頃、彩音達は荷物を置いて散歩に出ていた。

「あー!しーちゃん、魚がいるよぉ!」


彩音がのぞき込む川の中には、小さな魚が泳いでいた。
魚は水面に映った彩音の影に驚いて逃げていった。


「あぅ〜逃げちゃったぁ。」

寂しそうな顔をした彩音に忍は言った。


「やっぱりこの辺りまで来ると川も綺麗ね。水も冷たくて気持ちいいし。」

そう言って川に手を入れてサラサラと流れる水を感じた。


「そうだねぇ、飲めそうだね!…お?しーちゃんあれなんだ?」

彩音の指さす先には草むらがあった。
何かが動いている。


カサカサカサ…ピョンピョン

そこから現れたのは野兎だった。

「おお!ウサギさんだぁ!あはは!」

そう言ってはしゃいでいる彩音を、忍は優しい笑顔で見つめていた。
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