神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
「ごめんよ月読!一足遅くなって…。」


鵺を退かせた場所に駆け寄ると、幹矢はそっと月読を抱き上げた。


「出血はあるが死んではいないな…白蛇…この子を向こうに運んでくれ…。」


幹矢はそう呟いて月読の体を前に差し出した。
その体に白蛇がフワリと優しく巻き付くと、月読を離れた場所まで運んでいった。


その様子を眺めていた鵺は、頬に負った傷から流れる血を拭って、冷めた瞳のまま幹矢に言った。


「…私に小さな傷とはいえ簡単に血を流させるとは…。
やはり貴方は凶祓いの不動…。妖達が忌むべき神仏の申し子。」


「…確かにそう呼ばれる事もあるねぇ。大妖怪鵺に知ってもらえてたなんて感激だなぁ。」


幹矢はあくまで微笑みを絶やさないまま、軽い口調で答えた。
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