この空の彼方
一瞬、灯世を抱き締めたい願望に駆られたが、なんとか押し留める。



そのまま芦多は何も言わずに背を向け、馬に跨った。



すぐに馬を駆る。



これ以上灯世をみていると、屋敷を離れられなくなりそうだった。



こぼれた涙は、冷たい風のせいなのか、灯世のせいなのか。



芦多は顔に巻きつけた覆面布が濡れるのもかまわず、静かに泣いた。











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