この空の彼方



***



「もっと速く動け!」



怒鳴られて、芦多は汗を拭った。



剣の稽古中に、一切休憩は許されていない。



実際では敵は休憩などさせてはくれないというのが理由らしい。



確かにそうだろうが、こうも長時間一対一でやりあうことはないはずだ。



水を飲む隙くらいはある。



喉の渇きを忘れようと、芦多は息を吸い、深呼吸した。



と、師である政隆(マサタカ)がいきなり武器である槍を振りかざし、突進してきた。



慌てて剣を振り上げ、弾く。



「稽古中に隙を見せるな!」



くそ、息をつく暇もない。



芦多は顔をしかめて、攻撃に出た。



政隆が槍を振りかざした瞬間、姿勢を低くし相手の懐に突っ込んだ。





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