謝れない、謝らない
出逢い
いつものようにカーテンを開ける。
今日は1ヶ月ぶりの快晴だ。
そしてこれまたいつものように壁に吊ってあるカレンダーに、天気を書き込む。
これが私、神崎愛子の日課である。
今日から華の女子高生。
そんな入学式に相応しい快晴だった。
自分の部屋を出て顔を洗い歯を磨き、母が用意してくれた朝御飯を食べた。
ここまでは今までと変わらない日常だ。
ここから高校生の私が始まる。
まず新しい制服を着て、入学式仕様にした髪型を整えた。
肩より少し短いボブをした自分が、鏡に笑いかけていた。
化粧はわからないのでチークを塗る程度だ。
「いってきま~す」
軽快に挨拶をして家のドアを開けた。
これから向かう桜高校までは歩いて15分ぐらいだ。
心配性な私はかなり早く家を出た。
通学中友達できるかなとか、勉強ついていけるかなというありきたりな不安よりも自分が変われるのかを考えていた。
私は高校生になったら素直な自分になることを決意していた。
素直に人に謝れる自分になりたいと。
そんなことを考えている内に桜高校の正門が見えた。
私は期待と不安が2:8ぐらいの心境で正門をくぐった。
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