神様のきまぐれ
二日酔いの日向さんを、
ベッドに運び込み、
慣れた様子で、
元田さんが、キッチンで
インスタントコーヒーを
入れてくれた。

『日向もバカだよね。
ヤキモチやきなんだから。』

そういいながら。

意図するところが読めず、
話を変えた。

『お二人は
仲良しなんですね。』

『うん。そうだね。
同じ歳だから話もあうでしょ。
日本に来て長いし。』

志央といい、元田さんといい、
容姿からは想像つかないほど、
日本語が堪能だ。

元田さんが、
部屋の壁時計をみていう。

『ヒナコ、今日、
なんか用事ある?』

『いえ、別に。』

『あのバカ、任せていい?
俺、取材入ってるんだ。
世話かけるんだけど。』

この間の件があるにも関わらず
快諾してしまったのは・・・


もう少し、

最後に、もう少し
一緒に
いたかったから。


日向さんとは、
連絡先も交換してなくて。

ほんとに
会えなくなるから。


元田さんを見送りついでに、
スポーツドリンクとフルーツを
買ってきた。
 




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